「管理栄養士です」というと、
8割近くの方から、
「あー、給食作ってる人だよね」
「この食品に○○という栄養素が入ってるから沢山食べてくださいとかアドバイスする人のことでしょ?」
「栄養計算とかして献立作るんでしょ?」
と言われます。
管理栄養士の働き方は沢山あります。
給食を作る人、献立を作る人、栄養相談をする人などのイメージは間違っていません。
ただ
「この食品に○○という栄養素が入ってるから沢山食べてくださいとかアドバイスする人」というのは大きな間違いです。
"○○を食べれば痩せる"
とか
"この栄養素を沢山とればこの病気が治る"
というものは存在しないし、
存在するのならば、わざわざ栄養士の話を聞かなくても、スマホで簡単に調べれば良いということになります。
もちろん、
例えば『食物繊維を多く摂ると便通が改善されて体重が落ちた』
『鉄分のサプリメントを飲んだら貧血が改善された』
など
栄養素の働きによって結果的に体重が減ることや、悩みが改善されることがあります。
ただ、
人によって、必要な栄養素量は違います。そして、一概にこの栄養素をたくさんとった方がいいとも言えません。
どの栄養素も、過不足なくバランスよくとることが大切なのです。
先ほどの例で言えば、じゃあ食物繊維を沢山食べていれば、何を食べても痩せるのか。
貧血の原因は全て鉄不足で起こるものなのか。
と聞かれると答えはNOです。
糖尿病や腎疾患などを患っている人、疾患はないけれど肥満の人、普段身体を動かす仕事をしている人、妊娠中の女性。
状況や年齢など人によって違うし、
10歳の頃の自分と80歳になったときの自分の必要栄養量も当然変わってきます。
「この人にとって、どんな栄養素が足りなくて、どれくらい必要なのか。」
太っているからといって、全ての栄養素が過剰であるとは限らないし、
生活習慣原因で病気にかかる方もいれば、遺伝が関係している場合もある。
体重は?血液検査の結果は?ライフスタイルは?
などを考慮して
一人ひとりに合わせたアドバイスをしていくというのが、管理栄養士の仕事です。
「これを食べておけば健康になる」
などといった単純な話ではなく、栄養に関する知識をどこまで、どのように伝えればいいのかを考えながら、その人に合った食事のプランを考えるのが管理栄養士の仕事です。
一方的に
「こうしてください」
「これは食べないで下さい」
なんて押し付ける人の話なんて誰も聞きません。
そして、健康や栄養に関する情報は、科学や医療の進歩によってどんどん変わっていきます。昨日までのあたりまえが急に変わることもある。
本屋に行けば、ありとあらゆるダイエット本が並んでいる。
SNSでは、「1ヶ月で○kg痩せた方法」など、情報があふれている。
そういう時代だからこそ、栄養士・管理栄養士が
正しい知識で、対象者の心や人生に寄り添って、食で健康をサポートする。
これが使命であると、私は思っています。